接合しようとする金属表面に対するハンダのなじみやすさのことで、ハンダぬれ性とも称する。電子部品、半導体部品、電機部品、機械部品等で、ハンダ付けを必要とするものには欠かすことのできない特性である。
ハンダぬれ性はJIS規格にテスト法が規定されている(JIS8616‐1975)。その規定に基いてテストを行なった場合、ハンダ表面は平坦でコブがなく、折り曲げ試験(JIS Z 2248)を行なってもうろこ状にとんだり、はく離があってはならない、とされている。
加熱に対するハンダの接合性(ソルダビリティ)も、とくに半導体部品や電子部品では重要である。これは、錫と金属間化合物を作りやすく、しかも加熱に耐えるめっきということであるが、下地めっきによって大きな差が生ずる。たとえば、50%鉄・ニッケル素材上に直接銀めっきを施こしたものは350℃の加熱に1分しか耐えることができないが、下地に銅めっき1.5μm、金ストライクめっきを行なってから銀めっきすると、7〜8分耐えるようになる。
なお、防錆力にすぐれ、かつハンダ付け性の良好なめっきとしては、カドミウムめっき(航空機部品等)や錫― 亜鉛合金めっき(電機部品等)が利用されている。
半導体素子の電極とパッケージリードとを、金やアルミ、銀の極細線で接続(熱圧着または超音波圧着)することをボンディングと呼んでいる。つまり、ボンディングに際してのめっきに要求される特性のことで、皮膜の柔かさ、表面清浄さ、加熱密着性が要求される。一般的には金めっき、銀めっき、無電解ニッケルめっきが利用される。半導体関係では他に、溶接性、ろう付け性が要求されるが、無電解ニッケルめっきがよく活用されている。
表面に多数の微小孔(ポーラス)を有する特性のことで、保油性とも称される。内燃機関のシリンダやピストンリング等の部品では、潤滑油の保持性がきわめて大切な要素である。 一般に工業用ポーラスクロムめっきが効果的で、広く利用されている。
型離れ性とも同義で、低摩擦係数やすべり性と密接な関係がある。
プラスチックスやゴムのような溶融物質の金型では、適当な離型剤を使用して離型を行なうのが普通である。ところが近年、離型剤なしでも容易に離型でき、 金型の寿命も延長するという非粘着性のきわめてすぐれた分散ニッケルめっきが実用化されている。ニッケルめっき皮膜中に弗化黒鉛(平均粒度0.3μm)あるいは高分子弗素化合物を分散共析させるもので、粒子含有率は10〜15%(vol)、皮膜硬度Hv500〜 600のめっきが得られる。
金属と高分子材料の界面接着力を向上させる特性のこと。つまり、金属と高分子材料との複合材料を形成する場合、両者の界面接着力を大きくすることが大切である。そのため、金属の表面に高分子材料を塗布したり、ライニングしたりする場合、あるいはラジアルタイヤの中に鋼線を編み込む場合、金属上に銅・亜鉛の二層めっきを施し、熱処理して拡散させ所定の合金皮膜を得て、接着性を高めている。
新しい方法としては、被覆高分子と同じ相溶性のある高分子微粉末を分散させた複合めっきも実用化されている。
同様の特性に塗装密着性があり、塗装と下地との密者性を向上させる目的から、亜鉛めっき(クロメート処理)等が利用されている。